慶應義塾 駒村常任理事へインタビューを行いました。

慶應義塾 駒村常任理事へインタビューを行いました。

  2016年5月31日に宮崎観光ホテルで慶應義塾大学塾生家族地域連絡会が行われました。この会は、東京圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)以外に居住する塾生の家族・保証人に教職員が直接大学の近況、塾生の勉学・学生生活・進路などについて説明するもので、隔年で開催され、今年度は宮崎県を皮切りに22府県で開催されています。同大学には多くの本校卒業生が進学しており、本校出身の塾生のご家族も参加されました。
 弦月同窓会ではこの機会を利用して、慶應義塾常任理事の駒村圭吾教授(法学部)にお話を伺いました。

常任理事
駒村圭吾常任理事

<質問1>
慶應義塾大学は、平成26年度「スーパーグローバル大学創生支援」事業に、世界レベルの教育研究を行うトップ大学(タイプA)として採択され、これに基づいて様々な事業に取り組んでおられることと思います。SGUとして、貴学の特色ある教育事業をご紹介ください。(またSGH校に期待することはどんなことでしょうか。)

<ご回答1>
慶應義塾大学は、創立者福澤諭吉の建学の理念を継承しています。福澤は幕末から明治へとの転換期、激動の時代に生きました。それまでの通念が通用しないほどの激変のなかで、「実学」(福澤はサイヤンスとルビをふっていました)を強調し、自分の頭でものを考え、あらたな叡智を生み出して、「学問によって社会に貢献する」ことを尊重していました。そうした福澤の理念を引継ぎ、慶應義塾は現在6つのキャンパス10学部を擁する総合大学になっています。
 今日の世界はさまざまな課題を抱えています。①人口の少子高齢化、②生活・経済・地政学的な面でのリスク増大、③新たな価値の創造などです。これらの課題に対する研究は、自然科学、人文社会科学の両面において慶應義塾の得意分野です。「課題先進国」といわれる日本において、世界に先駆けて顕著となっているこれらの課題に、慶應義塾では強みを生かしつつ、地球社会の持続可能性を高めるための研究を進め、世界に貢献したいと考えています。
 そのため、これらの課題に対応して「長寿」、「安全」、「創造」という3つの文理融合のクラスターを構築し、学部・研究科横断で共同研究、学生の共同指導、人事交流などを進めはじめました。世界の大学とも連携を強め、最先端の研究を行って世界に貢献します。
その推進の中では、特徴のある試みもはじまっています。たとえば学生の論文審査に海外の著名な教授にも加わってもらえる海外副指導教授制度や、英語のみで学位取得可能なコースの拡充などもその一部です。この4月からはGIC(Global Interdisciplinary Courses)プログラムも1,2年生が学ぶ日吉キャンパスで開始され、基礎的なコア科目、専門のリサーチ科目あわせて400を越す科目を英語で学ぶことができます。海外留学も本学と先方とで学位を取得できるダブルディグリープログラムも国内最多の26件に増えています。

<質問2>
現在、慶應義塾大学の塾生の7割以上が首都圏(1都6県)の高校の出身者と伺いました。その原因はなんでしょうか。学力的に地方の高校から貴学に進学することが非常に難しくなっているのでしょうか。

<ご回答2>
近年、本学だけでなく、首都圏の私立大学では首都圏出身学生が増えています。やはり経済的な負担が大きな原因と考えます。そこで、慶應義塾では、首都圏以外の高校出身者で人物、学業成績が優秀であるにもかかわらず、経済的理由により、入学に逡巡している受験生に対して、入試前に予約のできる返還不要の「学問のすゝめ奨学金」を設けています。さらに学生寮の整備なども力をいれて、地域の隔たりなく進学してもらえるよう考えています。地域ブロック指定のある、法学部のFIT入試B方式なども首都圏外の受験生を対象としています。

<質問3>
推薦制度で入学した学生で、大学の授業についていけない学生が問題になったり、そのため高校で学習する内容の補習を行っている大学があることもお聞きしています。
 貴学の場合、推薦入学制度(指定校推薦・AO推薦)についてはどのようにお考えでしょうか。

<ご回答3>
 清家篤塾長は多様性が大事であるとよく話をされます。自分の頭でものを考えられる人に育つためにも、私も多様な学生に入学してほしいと考えています。一般入試だけでなく、学校の推薦を受ける指定校推薦や高校時代の勉学や課外活動などとともに何を学びたいかを提示するAO入試のほか、帰国生入試や留学生入試など、多様な入試によって多様な学生を採用するチャンネルは、各学部のご努力でずいぶんと増えてきたと思います。また、慶應義塾固有のルートとして、一貫教育校から内部進学する学生も多く、入学への入口はさまざまで、多様性を確保することにつながっていると思います。推薦入学制度もこのような多様性確保の一つとして位置づけられると思います。

<質問4>
 慶應義塾の教育の基本である「独立自尊」、そして教育の中で実践されている「半学半教」について教えてください。

<ご回答4>
 「独立自尊」は明治32年末から「修身要領」が編纂された際に、福澤諭吉の思想を集約する語として、門下生たちと福澤が協議して決定した言葉です。福澤は明治34年2月に没していますので、かなり晩年になっての言葉といえます。「修身要領」では「独立自尊」たる人のあり方を列挙していて、長く行動規範として尊重されました。端的に言えば、自他の尊厳を守り、何事も自分の判断、責任の下に行動する、品位を辱めない、ということといえます。
 「半学半数」もともとは創立当初、学生の身分でありながら、教師もかねる、つまりある学科では学び、他の学科は教えるという身分のものがいたことに由来します。現在では
教える人、教わる人というわけ方ではなく、学生も教員も、あるいは卒業生も、学び、ともに教える関係にあると言う考え方と捉えられています。慶應に関わる人を総称して、慶應義塾社中といいますが、この場合、上下の区別はありません。慶應義塾では、教授であれ、正式書類や学内掲示板では「君」と書かれます。

<質問5>
  これから慶應義塾大学への進学を希望する本校生徒にアドバイスをお願いします。

<ご回答5>
 大学生になる以上、読み書き語るという基礎学力を前提として、各学部の提供する専門知を腰を据えて勉強してもらうことは言うまでもありません。他方で、慶應義塾に進学する以上、その伝統と人的ネットワークの中に自分なりの居場所を見つけて、大いに活用してもらいたいと思います。また、社会を先導する役割を担う責任感と、そういう役割をむしろ積極的に担おうとする、健全な野心を持ってほしいと思いますね。

以上


 


category:新着情報category:高校関連 2016.06.23(木)