「新緑の燦き、音楽の燦き、宮崎国際音楽祭」黒木あすか

「新緑の燦き、音楽の燦き、宮崎国際音楽祭」黒木あすか

皆様いかがお過ごしでしょうか?

 宮崎はつい先日梅雨入りし、除湿機が手放せない生活が1ヶ月ほどは続きそうです。
前号で青木賢児総監督が触れた通り、宮崎にはクラシック音楽の咲き誇る季節があります。第18回宮崎国際音楽祭が今年もたくさんの方々に感動を与え、フィナーレを飾りました。
2年前の原発事故直後の音楽祭に、急遽ピンチヒッターとして来宮くださった世界のオーケストラとソリストそして指揮者として活躍されるピンカス・ズーカーマン氏、チェロ界の巨匠、ミッシャ・マイスキー氏を迎え宮崎県立芸術劇場創立20周年となる音楽祭に相応しい素晴らしい数々の演奏が繰り広げられました。

 私はソプラノ歌手としての活動だけでなく、ラジオ・パーソナリティ、英語講師、通訳などもしておりますが、実は、私が出演しているサンシャインFMの毎週金曜日朝8時から3時間生放送でお届けしている“モーニング・テラス”では、クラシックコンサート情報をお届けするコーナーがあるのです!(県外のお住まいの方々もインターネットでお聞きいただけますよ♪)

 この機会に二人の巨匠“ズーカーマン氏”と“マイスキー氏”に生の声をインタビューするっきゃない!!!!と私の瞳が輝いたことは言うまでもありません。
宮崎県立芸術劇場の皆様のご協力のもと、チェロ・コンチェルト終演後すぐ、舞台袖でマイスキー氏のインタビューをさせて頂きました。
マイスキー氏のバッハの無伴奏組曲は大学生の頃、聞き入ったCDのひとつでした。
自分がどれだけマイスキー氏の音楽に傾倒しているか!その想いの丈を、英語で長々と熱弁を奮う自分の姿は、思い返すだけでも赤面しそうですが、舞い上がっている訳にもいかず、当初は1分の予定だったインタビューがいつの間にやら5分へと軌道修正されていました。
実際にお会いしたマイスキー氏は、思った通りに神がかった風貌、傍らに20代と思しき赤子を抱えた長身の美しい奥様、そして、物腰の柔らかい少し東欧訛りのある柔らかい英語。
ダイナミックに演奏するその姿からは、想像できないほど、ソフトな語り口でした。

 そして、2年前の音楽祭の危機的状況を救ったわれらがヒーロー、ズーカーマン氏のインタビューは、空港の特別室で録音させて頂きました。

 以前、レセプションでズーカーマン氏の通訳をさせて頂いていたので、語り口調などは把握していたつもりでしたが、インタビュアーとなると、かなりの至近距離で、流石に、ヴィルトゥオーゾと呼ばれるアーティスト独特のオーラに圧倒され、手が小刻みに震える思いでした。
そんな緊張気味の私を察してか、ズーカーマン氏は、宮崎空港の特別室の棚にポンと腰掛け、アメリカ人ならではのジョークで和ませてくださいました。日本公演が好きなのは、日本食が好きだからに違いないと勝手に想像し、
“Do you like Japanese food?”と中学生の英語の教科書の様な質問を不覚にも口をついて出たとき、ズーカーマン氏の目がキラリと光った気がします。
「もちろん!私はニューヨークに一番古くからある日本食レストランの最初のお客ですよ、お寿司も大好きです。特にUNIが!」と答えたので
“You mean, sea urchin?”(ウニのことを英語でシーアーチンと言います)と訊ねると
“No, U-NI!”と、まさかのアメリカン・ジョークが飛び出て、一流のヴァイオリニストとしてだけでなく、たくさんのオーケストラ・メンバーの心を捉えて離さないズーカーマン氏ならではの機知に富んだトーク展開でした。
二人の巨匠は、「また宮崎に演奏に来るからね」と爽やかな笑顔とともにメッセージを残してくださいました。
来年の春は、宮崎県立芸術劇場のアイザックスターン・ホールをどんな素晴らしい音楽が彩るのか楽しみで仕方ありません。
今年はなんといっても、大宮高校から徒歩3分の総合文化施設の一角の音楽ホールの20歳のバースデーです。

 皆様も、帰郷の際には、大宮高校のある神宮、宮崎県立芸術劇場のある界隈をちょっとお散歩してみてはいかがでしょうか?
そこに変わらずにある町が、樹木が、人々が、皆様を心地よく迎えてくれることと思います。

黒木 あすか

宮崎市出身 4歳よりヤマハ音楽教室でピアノを始め、大宮高校時代に本格的に声楽家を志す。 東京藝術大学声楽科卒業後、ロータリー財団奨学生として王立ウェールズ音楽院大学院を奨学金を得て卒業。 イギリス・カーディフのミレニアムスタジアムで開催された日本対ウェールズのラグビーマッチにて5万人の聴衆の前で君が代を独唱する。
シュトゥッツガルト・フェスティバル・アンサンブルにオーディション合格を経て、欧州ツアーに参加。欧州では合唱団やオペラ団体にソリストとして多数の音楽プロジェクトに参加、アイルランド政府奨学生となる。 現在は、地元宮崎を中心にラジオ・パーソナリティやテレビ・レポーターとして音楽の楽しさや宮崎の素晴らしさを発信することを目標とし、作曲も手がける。

黒木あすかホームページ:http://www.asukasoprano.com

黒木あすかブログ:http://ameblo.jp/voiceoflife/