「心のふるさと」森本雍子

「心のふるさと」森本雍子

 皆様お久しぶりです。台風18号は全国各地吹き抜けましたが、幸い宮崎は大した被害もございませんでした。被災されました地域の皆様には心よりお見舞い申しあげます。

猛暑だった夏も、9月に入りますとよくしたもので秋風が吹きわたるようになりました。そして今夜(19日)は満月で迎えます“中秋の名月”でした。何も中秋の名月は暦の関係で満月とは限らないのですってね。ここ3年、2011年・2012年・そして、本年と満月の中秋の名月でしたが、残念ながら今年ご覧にならなかった方次の機会は2021年ということですのでオリンピック開催年の翌年となりそうです。

 ということでしたので慌てて外に飛び出して、毎年十五夜祭りを催される近くの八幡様に下駄履きの夫とうちわ片手に行ってみることにしました。 その神社までは歩いて6~7分のところなのですが近づいてもぼんやりとした明かりのみで鎮守の森は静まりかえっているのです。「あれ、お祭りは今夜ではなかったの」と境内に歩をすすめ、御神前に手を合わせ薄明かりを頼りに、手作りのちいさなポスターに目を凝らしますと、十五夜祭り9月28日18時~とあります。

 帰りはゆっくりと空を仰いで歩いていましたら、雲の切れ目から満月のお月さまがお顔をみせてくれました。その神々しいまでの美しさに一瞬われを忘れたほど。ふり返って鎮守の森に向かって頭を下げました。その時 ♪ 村の鎮守の神様の 今日はめでたいお祭り日 ドンドンヒャララ ドンヒャララ 朝から聞こえる笛太鼓 ♪ 夫が小さく歌っているのが聞こえた気がしました。

十五夜祭で思いだしますのが娘とシンガポール旅行中に滞在したあるホテルで、客室係のRさん(マレーシァ系)が今夜ホテルの広場でランタン祭りをするので、ぜひとお誘いをうけました。芝の美しい広場にはランタンが飾られ日暮れとともにお月さまを歓迎するかの様につぎつぎに灯が入り、異国で観る満月は格別でした。そこに集う旅行者はヨーロッパ系の人々が多いのにスタッフはアジア系の中国、フィリッピン、インド、マレー系と様々で故郷をはなれて働いていました。私たちもそうですが、心のふるさとは自分が住むところになるのでしょうか?その夜シャンパンと月餅でこころゆくまで楽しみました。

森本 雍子

1939年 旧満州国生まれ 県立宮崎大宮高校卒 現在くらしのデザイン研究所主宰
1993年 宮崎市役所退職 同年株式会社宮交シティ勤務 1996年退職
1996年以降 宮崎公立大学就職カウンセラー、宮崎県森林審議会、宮崎県公共事業評価委員の他、日本銀行金融広報アドバイザー、財務省財務行政モニターなど
2004年 金融庁長官・日銀総裁から金融知識普及の功績で表彰
2007年―2013/3月まで「雍子と由紀子見たまま感じたまま」MRTラジオ
現在、みやざきエッセィスト・クラブ会員 日本エッセィスト・クラブ会員 宮崎文化を考える懇談会委員 宮崎市芸術文化連盟理事 文化振興協会理事

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