「ストリートピアノの奏で」黒木あすか
宮崎には音楽の花咲く季節があります。
現在、第19回目を迎える宮崎国際音楽祭は5月19日まで開催されます。
このクラシックの音楽の祭典は、みやざき国際ストリート音楽祭でプレミアを迎えるのが通例となっています。
今年は4月29日に開催されたみやざき国際ストリート音楽祭は、その名の通り、ストリートがメイン会場です。
宮崎中心市街地を南北に走る橘通りがこの日だけは歩行者天国となり、橘通りのメイン会場に、6つのステージで28団体のジャンルを越えた音楽の競演がありました。
今回、私はMC(司会)として、メイン会場の一つ、Dステージの横で、ジャンルの異なる素晴らしいの音楽のリズムに合わせて演奏を肌で感じることができました。その熱気も冷め、クラシックのメイン公演も楽しんでいたある夜のことです。
宮崎中心市街地で繁華街の待ち合わせポイントとなるがミスド前。そこにはお洒落なバール、Cornerがあります。 そこで、友人と二人で九州パンケーキを食べていたとき、二階へ上がりかけていたジャズ・ピアニストの永田ジョージさんを偶然目撃し、ご挨拶をしました。ストリート音楽祭でも演奏してくれたジョージさんは、青島神社能楽殿でのライブを終えて、一人で抹茶クランチーノを飲んでいました。司会をしていて、入手できなかったCD Brazillian Grooveをジョージさんから二人で購入し、波乗りピアニストのジョージさんらしく日焼けで温泉に入ったヒリヒリしたという他愛もない話で会話が弾んでいたとき、ジョージさんが「せっかくCDを買ってくれたから、今日のお礼に太陽の広場でピアノで演奏をプレゼントしますね」と快く申し出てくれました。
即興のライブ会場となったのは、アートセンター前の太陽の広場にある「ストリートピアノ」です。学生時代、音楽室にあったピアノのまわりに、ピアノの得意な友人が座り、「ねぇ、あの流行の曲をピアノで弾いて弾いて!」と楽しい会話が生まれていましたが、まさにその光景がその晩だけ、宮崎の太陽の広場で繰り広げられました。
ジョージさんの弾く音色に、耳を傾けていた人々が、感激の拍手を送り、「もしリクエストがあれば、お応えしますよ」とジョージさん。
太陽の広場で、ほどよく調律されたピアノからこんなにも心地よい音色があふれてくるとは誰が想像したでしょうね。
ピアノもジャズピアニストの魔法にかかって、調子よくリズムよく軽やかに、いつものストリートピアノとは全く違う顔を見せて、真剣にピアノと向かいあうピアニストに呼応して想像以上の音色を奏でてくれました。
宮崎の夜のジャズ・ヴィルトゥオーゾの小さなコンサート。
日常の空間が非日常になり、アートが舞い降りた瞬間に、幸せな音で満たされた空間を
ストリートにいたみんなで共有できる幸せな夜でした。
宮崎国際音楽祭での名演奏も待ちきれない宮崎の春はまだまだ続きます。
みなさまもお体にはご自愛くださいね。
それでは宮崎国際音楽祭でお目にかかりましょう!
黒木 あすか
宮崎市出身 4歳よりヤマハ音楽教室でピアノを始め、大宮高校時代に本格的に声楽家を志す。
東京藝術大学声楽科卒業後、ロータリー財団奨学生として王立ウェールズ音楽院大学院を奨学金を得て卒業。
イギリス・カーディフのミレニアムスタジアムで開催された日本対ウェールズのラグビーマッチにて5万人の聴衆の前で君が代を独唱する。
シュトゥッツガルト・フェスティバル・アンサンブルにオーディション合格を経て、欧州ツアーに参加。欧州では合唱団やオペラ団体にソリストとして多数の音楽プロジェクトに参加、アイルランド政府奨学生となる。
現在は、地元宮崎を中心にラジオ・パーソナリティやテレビ・レポーターとして音楽の楽しさや宮崎の素晴らしさを発信することを目標とし、作曲も手がける。
黒木あすかホームページ:http://www.asukasoprano.com
黒木あすかブログ:http://ameblo.jp/voiceoflife/